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映画 『Ray <レイ>』
ソウル、ゴスペル、R&B、カントリー、クラシック・・・異なる分野を融合させながら独自の音楽をつくりだし、盲目のハンデと黒人への差別を乗り越えて成功したレイ・チャールズの生涯を描く伝記的映画。愛人をつくったり、麻薬に溺れたり、はたまた麻薬のせいで刑務所に入れられそうになったり・・・伝説的ミュージシャンの人生の裏側を起伏豊かな展開でみせる。

レイ・チャールズのヒットソングと彼の人生のエピソードを巧みに結びつけて進展するシナリオは秀逸。時系列にそって出来事を追うだけでなく、子供時代への回想となるフラッシュバックが頻繁に用いられている。僕がいちばん面白いと思ったのは、レイ・チャールズが水浸しの床の上に立っている幻覚に襲われる場面。まだ目が見えていたころの子供時代に起こった不幸な出来事がトラウマを引き起こしたのだけど、精神分析学的な説明で理解しなくても、盲人がはっとして手で床をさすりながら、幻覚に襲われるシーンには映像として見応えがあって引き込まれた。盲人のレイ・チャールズは施しに頼らずに仕事を求めて旅する。その旅の間にアメリカ各地の郷土色が表れているのも興味深かった。また黒人差別とはかつて、こんなに露骨だったんだなと、ちょっとショックも受ける。多くのアメリカ映画がそうであるように、本筋よりも、挿入されている小さなエピソードがリアルで面白い。

驚くのは主役のジェイミー・フォックス。実物のレイ・チャールズの仕草を真似た演技はもちろんだが、ピアノの弾き語りのシーンが素晴らしい。一体、どうやって、あんなにうまく音に合わせたんだろう?と不思議でならなかった。要するにはほとんどが、生前に録音されたレイ・チャールズの歌声をかぶせているわけで、観客が見ているのは、ジェイミー・フォックスの“口パク”なわけでしょ?ライブやコンサートのシーンでは、コーラスやバンドたちと見事に息のあった演奏を見せていた。彼は子供の頃からピアノも習っていた多彩な人と知って、そうなのかと納得。それにしても、うますぎる!

そうした撮影の苦労話などが知りたくてプログラムを買ってみたんだけど、執筆者はめいめいレイ・チャールズへの熱い思いを語っているばかりで、演奏シーンに見られる演技と編集・音響技術について、ほとんど解説されていないのがちょっと不満だった。唯一、その点に触れているのが、音楽評論で知られるピーター・バラカン氏の文章。さすが、ちょっとした映画のレビューを書いても、この人はツボを心得ているなぁと思った。
| 2005年2月の映画 | 00:45 | comments(0) | trackbacks(2) |
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