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映画「スイミング・プール」
「ホームドラマ」、「クリミナル・ラヴァーズ」などにあった、おどろおどろしさが影をひそめ、最近は「8人の女たち」、「まぼろし」など円熟味が加わった作品をつくるようになったフランソワ・オゾンの新作。

英国の売れっ子ミステリー作家が、南仏にある出版者の別荘を借りて新作執筆にとりかかる。そこへ突然、出版者の娘が現れ、毎晩違う土地の男を連れ込むなどしたい放題。予期しない訪問者に仕事の環境を乱されて、当初女性作家は迷惑顔だったが、次第にこの娘に興味を持ち始め・・・

南仏の陽光。青いスイミングプールが湛える水は透明で、水面の反照が目にまぶしい。シャーロット・ランプリングが演じる女性作家は、不思議にもプールの水面を見つめることに、異常な執着を見せている。ある朝、起床してみると、真っ黒いビニールカバーがプールを覆われているのを見てはっとし、寝巻き姿で彼女がカバーを取り除こうとしたシーンが印象的。奇妙といえば、娘が連れ込む男たちも、ぶよぶよ太っ男か年寄りばかりで、娘のセクシーさと釣り合っていない。

ああ、すべては南仏の光と水面の文様が作り出した幻影なのか?それにしても、前作「まぼろし」と同様に、オゾン作品の映像は深みを持っている。空間的な奥行きと心理的な奥行きを、主人公の視線の動きで捉えながら、ドラマは展開していく。場面変化が少ないこの映画に奥行きを与えているのが、この独特の空間構成だ。

そもそも出版者の娘と自称しイギリス人とフランス人のハーフだという若い女(リュディヴィーヌ・サニエ)は、何者だったのか?この映画は論理的なつじつまあわせに向かない。奇妙な設定、不思議な登場人物をそのまま受け入れよう。

シャーロット・ランプリングは、いかにもストレスの溜まった女性作家らしく、硬くこわばった表情。典型的なイギリス人で、グルメに興味ないのか。別荘に引き籠ってヨーグルトばかり食べている。そんな彼女も、同居するフランス娘が冷蔵庫に買い込んだハムやソーセージやワインにいつしか手が伸びて、サニエの留守中にむしゃぶりつく場面が面白かった。インテリ女もまずは舌から官能を受け入れた、ということか。

「謎」こそが感性に翼を与えてくれる。ミステリアスな雰囲気こそ、官能と肉感を受け入れる原動力。僕の前からのお気に入り、リュディヴィーヌ・サニエの姿態の艶かしさが惜しげもなく披露されている「スイミングプール」は、フランスワ・オゾンの傑作だ。
| 2004年5月の映画 | 10:18 | comments(5) | trackbacks(2) |
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コメント
う〜ん、これ観てみたいっす!
なんか、この頃、jokigenさんの映画評、以前にも増してプロっぽくなってきましたね〜。(プロだったりして?)
jokigenさんの評で、妙に行きたくなってしまう映画が増えてきちゃってます。さすがっ!
| smokie John | 2004/05/24 10:38 PM |
smokie John さん。
これ観てみたいって、お言葉ありがとうございます。よかった!最近、肩の力入れすぎの文章ばかり書いて、いかんなぁ〜、プロでもないのに独りよがりじゃん?と心配だったんですけど・・・
「スイミング・プール」はぞっこん惚れ込んでしまいましたので、理屈は言わずにすんなり感想が書けました。

smokie Johnさん、南仏行ってみたいでしょ?南仏で水着といえば、トップレス!でも、フランスは遠いですよね〜。行けないですよね〜。でも、行きたい!となれば、「スイミング・プール」でリュディヴィーヌ・サニエを見ちゃってください。アラレモナイ姿がいいんだよなぁ〜(あ!僕もやっぱりオヤジ)
| jokigen | 2004/05/25 6:18 PM |
おおっ!トップレス・・・!
いい響きっすね〜♪うんうん。
南仏ですか〜、ヨーロッパは行ったことないもんな〜。
弟は仕事の関係で、ちょこちょこいってるようなんですけどね。おれの場合は無関係で。
ヨーロッパといえるかどうか、ハンガリーは行ってきましたけどね。オペラハウスも(笑)!
フランスはちょっとあこがれです。それもパリじゃなくて
郊外のブドウ畑や、シャトーに行ってみたいです。
jokigenさんは、ワイン党だっけ?バーボンだっけ?
「スイミングプール」観てみようっと♪
| smokie | 2004/05/26 10:18 PM |
Jokigenさんのコメント読んで行きたくなり、『スイミング・プール』見てきました。「良かった!!」この監督の作品は初めてですが、前回までの作品も見てみたい。とにかく気になってしまう監督だわ。それにしても、女優は2人とも魅力的なんだけれど、相手の男性達は全て冴えないメンツなのが本当不思議・・・。シャーロット・ランプリングはどこかで見たと思っていたら、『愛の嵐』に出ていたんですね。あの映画も強烈な印象の残った映画でしたが・・。おかげさまで今日は有意義な時間がもてました。
| サンタフェ | 2004/06/07 11:25 PM |
サンタフェさんに気に入ってもらってよかったです。「愛の嵐」って有名ですね。ドイツ映画だったでしょうか?僕はまだ見てません。オゾン監督のものでは、「まぼろし」もランプリングの主演です。これもいい映画だったなぁ。海辺にたたずむ彼女の姿が印象的でした。「まぼろし」では彼女は確かフランス語を話してます。一体この女優さん、何ヶ国語話せるんでしょう?
| jokigen | 2004/06/08 5:43 PM |
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スイミング・プール、結末のゆくえ
この手のコラムは、本来ならば「ねこたま倶楽部」の方に書くべきなのでしょうが、この映画の性質上ネタばれになるのでこちらに。(blogはネタばれが隠せるからいいね♪) 結末に触れる内容ですので、まだこの映画をご覧になっていない方はご用心
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