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キューバ映画への旅 「短編集[1]:サンチアゴ・アルバレス選集」
知らずにすごいものを見てしまっという感じ。サンチアゴ・アルバレス監督による「ハノイ13日の火曜日」(1967/38分)と「79歳の春」(1969/25分)はまさに度肝を抜く作品だった。どちらもベトナム戦争と共産主義政権の誕生をテーマにしたドキュメンタリー。元映像はどのように入手したのかは知らない。ベトナムやアメリカのニュース映像が元になっているかもしれない。
「ハノイ13日の火曜日」は仏画と田園風景と銃撃戦との見事なコラージュ。限られた映像の細切れと写真を組み合わせてダイナミックな展開のある短編映画に仕上げている。その編集の素晴らしさに感嘆。爆撃を受けて焼け野原に変貌した街をさ迷う人々を写し出す映像の迫力。

「79歳の春」の冒頭。タンポポが開花する様子をクローズアップで映し出す牧歌的な映像があり、その後にタンポポの種が大空に舞っていく、と思ったら、なんとそれは同じ形状の投下された爆弾で、ベトナムの大地に炎と煙が巻き上がる。凄い!と絶句。その後、ホー・チ・ミンの伝記的な内容に変わっていくが、わずかに字幕がいくつかあるだけで、短いカット割りされた映像でリズミカルに構成されている。ホー・チ・ミンが農村で小さな馬に跨って進む姿は、革命家というより中国の水墨画に出てくる賢人のよう。街を行く人々の頭にかぶったベトナム風の帽子を捉えた映像を繋いでいくだけで、詩的情緒を醸しだす。そして、一気に盛り上がる後半。ベトナム戦争の実写した映像が連続する。わざわざ傷つけたり分断したり切断したフィルムを、激しいパッカーションのリズムのようなテンポで繋ぎあわせ、戦闘シーンに圧倒的な迫力を与えている。ひょっとすると、この25分の「79歳の春」は3時間近いコッポラの「地獄の黙示録」よりも迫力があったかもしれない。このドキュメンタリー映画には息を呑むしかなかった。
4月15日(木)19時
 1週間先の「苺とチョコレート」を見るつもりで間違えて、「ハノイ13日の火曜日」と「79歳の春」を再び見てしまう。自分のボケぶりに脱力してたが、映写が始まると、やはり凄いと思った。この二つの短編はまるで交響詩のようだ。前に書いた感想に勘違いもあったのにも気が付いた。「79歳の春」にあったと思ったベトナムの被り物は「ハノイ13日の火曜日」の一場面だった。この「ハノイ13日の火曜日」では、ベトナム人の日常を写し出す緩やかなリズムの映像と、戦闘シーンの緊迫感のある展開とが交互に入れ替わりながら、アメリカでの反戦デモのシーンも加わって、鉄道建設の場面で最高潮に盛り上がる。ベトナム版「国民の創生」。前回は「79歳の春」から強烈なインパクトを受けたせいで、これらのシーンは記憶から抜け落ちていた。
「79歳の春」もやはり凄い。初めて見たときほどの衝撃はないが、かえって落ち着いて見てみると、このフィルムの繋ぎ方の不思議さに驚かされる。それは、電流がショートして火花をおこすように、一見無関係なもの同士が、映像の上で繋がりあってしまうことによる不思議さだ。上記のタンポポの花と爆弾の関係は、まるで「2001年宇宙の旅」で猿が放り投げる骨と宇宙船の関係のようだし、他の例も随所に見られるが、とても1回や2回の鑑賞では覚えていられない。たとえば、「ハノイ13日の火曜日」で、田んぼで牛がよっこいしょっと立ち上がるシーンと、農民たちがよっこらしょと汗かき泥まみれで働く姿とは、同じ“よっこらしょ”で共鳴しあい、ハーモニーを奏でているように感じられる。ベトナムの大地の臭いがたちのぼる。この共鳴を起こすショート効果は、サンチアゴ・アルバレスの作品(二つ見ただけだが)の随所に見られるようだ。
それにしても、この映画作家についての情報が少ないと思うが、もっと見たい、知りたいと思う映画作家に久々に出会えてうれしいのは確かだ。
| 2004年4月の映画 | 20:10 | comments(0) | trackbacks(0) |
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