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映画「皇帝ペンギン」
昨年の5月頃、友人が翻訳で悪戦苦闘していた仏映画の資料のタイトルは、“La Marche de l'Impereur”。読んでみると、 「エンペラーペンギンの行進・・・エンペラーペンギンが水中を泳いでいる姿を見れば、大自然がペンギンたちに負わせた数奇な運命に、誰でも興奮するに違いない・・・」 それで、どうも南極のペンギンの生態を追ったドキュメンタリー映画らしいとわかった。

「エンペラーペンギンの隊列が巨大な氷の町に吸い込まれていく。100以上もの氷山は倒れた建物のように大きく、混沌とした世界が大浮氷群によって作り出されている・・・」

7月末に公開されてから字幕版を見て、最近ふたたび日本語吹き替え版も見に行った。「なんでペンギン親子が言葉で会話すんの!」というところは確かに評価の分かれるところだろうけど、鳥肌がたつくらい美しい映像であることはたしかだと思う。最初に聴いたときはビュークみたいだなと思ったエミリー・シモンの歌も、青い海と白い氷河の風景とよくマッチしている。なにより、驚異的な自然環境で生きるペンギンたちを捉えた映像がいい。どこか、瞑想に耽るような、物思いに沈んでいるかのような、不思議な眼差しを克明に映し出している。
動物をやたらと擬人化しているわけでもなく、かといって客観的に生態を捉えた映像をつなぎあわせただけというわけでもない。製作者の眼差しが探りあてた独特の世界を、物語性を持たせた映像編集で再構築しているという印象。こういうところが、最近のフランスの自然をテーマにしたドキュメンタリー映画の潮流なのかもしれない。

そういえば、今年の横浜フランス映画祭で上映された『ジェネシス』という動物の生殖活動の神秘を描いた映画の製作者(マリー・ブレヌー&クロード・ニュリザニー)は、この映画の製作のために準備に数年かけ、シナリオを推敲を重ねながら書き上げて、実際に撮影に取りかかったときは、自分たちが何を撮影すべきかすべて把握していた、と舞台挨拶で語っていた。二人は生物学者なのに、彼らが撮影した映画は独特の美意識と哲学によって捉えられた生物の進化の世界だった。ただ、ありのままに自然を撮影して、いいとこ取りで編集して映画にまとめるというのとは、まったく異なる態度なのだった。

いい過ぎとは思いつつ、フランス人がつくる自然ドキュメンタリー映画は、ベルサイユ宮殿とか貴族の城にあるフランス式庭園と似てると思う。自然を素材にしつつ、自然のままにしてちゃダメで、自分の美意識や哲学を反映させたいわけだ。所詮、人間が撮影して映画にする以上は、主観に影響されるのは当たり前、むしろ意識的にやったほうがいいんだ!という開き直りにもとれる。

ペンギンにしろ、人間にしろ、子供を「可愛い!」と思う遺伝子が私たち動物の細胞に組み込まれていることを神秘的に感じる。また、繁殖のためには正確に自分が生まれた場所に戻る行為が、長い年月の間、繰り返されるということの不思議さも驚かされる。 あんな映像を撮り収めたら、そりゃセリフ入れたくなりますね。たとえセリフがなくても、見る観客が心の中で子ペンギンと親ペンギンの会話を想像してしまう。だから、監督リュック・ジャケがあそこまでしてしまった理由を理解してあげたいと思う。
| 2005年8月の映画 | 23:50 | comments(0) | trackbacks(0) |
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