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レオポルド・ブルームへの手紙
15年の刑を終えて出所したばかりのスティーブン。まっすぐに前を見つめて歩む彼の足取りが、人生をやり直そうという強い意志を雄弁に物語っている。彼はレストランで働き口を見つけ、一編の小説を執筆し続ける。かねてから知り合いらしい弁護士に電話して、彼は「出版社に送る前にもう一章、書き上げれなければ。そうすれば、物語は完結だ」と告げる。そして、母親に愛されていない少年レオポルドが物語が始まる。その少年は会ったことのない囚人宛に手紙を書き、たまたま、それが刑務所にいたスティーブンにもとに届くことになるのだが...

少年レオポルドの母親の年齢は見た目にはずっと変わらない。彼女の愛人となるペンキ塗りの男の年齢も若いまま。レオポルドが生まれる前から始まる、この母親についてのエピソードで、二人の見た目の年齢が変わらないことは、この映画の物語の構造を知るキーポイントかもしれない。やがて、殺人を犯したことで刑務所に入所した18歳のレオポルドを面会しに来たときも、レオポルドを胎内に宿したときと変わらない若い姿で、母親は涙に泣き濡れている。

この作品は物語の構造を先読みしながら見るように観客を促している。ちょうど空に投げられたブーメランが曲線の軌道を描いて手元に戻ってくるように、きっと戻ってくるに違いないと思って、僕は見ていた。もし、先読みしないで見ている観客がいたら、きっとラストでがっかりしたことだろう。この作品の<最終章>は、別々に見えたスティーブンとレオポルドの二人の物語が交差することで仕上がる。でも、映画に出てきた交差の仕方は“起こりえることのひとつ”であって、別のパターンも可能に違いない。それぞれのパターンに従って物語が書かれれば、スティーブンとレオポルドを巡って幾多のバリエーションの小説が誕生しえる。レオポルドが映画のラストでたくさんの本に囲まれて横たわっていたのは、そのことを暗示しているのだと思う。

母親メアリーと夫、そして愛人との間で起こった出来事は、ほんとうに起こったのか?それとも、妄想なのか?それは結局のところは、わからない。ただ画面から溢れてくるのは、誰かに愛されたい思う切実とした真情。そして、孤独の底で叫び続ける人間の息遣い。映画は全体として、パズルを組み合わせるような知的ゲームっぽいところが気に入らないけど、文学的な深みを目指したところは評価できると思う。
| 2005年3月の映画 | 00:10 | comments(0) | trackbacks(1) |
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レオポルド・ブルームへの手紙
この映画の原題は「Leo」。だからといって決してあの有名な人気俳優の事ではありません。タイトルの人物名を短縮したもののようです。 最初から最後までこの映画を見た時に映画全体の秘密がわかるのですが、愛情に欠けた人達に勇気を与える人間愛をテーマにした作品と
| FOR BRILLIANT FUTURE | 2005/03/09 11:17 PM |