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『タッチ・オブ・スパイス』
物語の後半、大学教授になった主人公がイスタンブールの橋に佇むシーンを見て、無性にイスタンブールに行ってみたくなった。主人公は地元の大学関係者に会ったり、懐かしい幼なじみと再会した時、どういうわけか英語で会話している。トルコ語が話される首都で、彼はまるで“異邦人”。でも、ほんとうはイスタンブールこそが彼の生まれ故郷の街なのに・・・

東ローマ帝国の首都だったコンスタチノープルが、イスタンブールと呼ばれるようになったのはいつなのか、僕はよく知らない。ともあれ、映画『タッチ・オブ・スパイス』は、コンスタンチノープルを異文化が混沌とまじりあう街としてノスタルジックに描く。ギリシア正教を信じるギリシャ人を父母に持ちながら、主人公はトルコの首都で生まれ少年時代を過ごす。スパイスを商う祖父との触れ合いによって、料理に強い関心を持つだけでなく、人生観も大きな影響を受ける。シナモン、ナツメグ、コショウ、・・スパイスの香りは政治・宗教の壁を越えて官能を与えるものらしい。観客席にいるこちらまでツバキが出てきそうなほど、香料の馥郁とした香りが漂い、美味しそうな料理を囲んで家族がドタバタ喜劇を見せる光景が続く。これらがきっと少年の心に幸福の原風景を与えたのだろう。しかし、その幸福に満ちた家族の団らんも、政治的な理由で壊されるに至る。ある日、ギリシャ系住民に強制移住の命令が下されたのだった。
トルコとギリシャとは地続きの隣国同士で、文化や言語にも共通点も多いようだ。当然、ギリシャ系の人々がトルコ領内に働いていたり、トルコ系の人々がギリシャで暮らしていたりしている。しかし、政治的・宗教的対立から、両国間には紛争が絶えないのも事実らしい。この作品はそういう過酷な状況を物語の背景として描きながら、一方でどこか明るく天真爛漫なところがある。「ガストロノミーのなかにアストロノミー(天体)がある」なんてダジャレのような言葉が映画に出てきた。この言葉は主人公の心の中にある≪幸せの原風景≫を的確に表現していたのかも。嗅覚と味覚で知る世界は、多様な文化の産物で、混沌としながら争いもなく、すべてが調和する世界だ。

そういうわけで、この『タッチ・オブ・スパイス』という作品には、スパイスの種類のように、いろんな要素が混じり合って出てくる。冒頭に主人公の祖父がアテネにやってくるという知らせを聞いて、黒い服を着て似たようなおじいさんたちが一緒に宴会にやってくる。みんながそっくり似た動きを見せるといったおかしみは、ちょっと昔の小津の喜劇映画風だ。おばあちゃんのパーキンソン病が、台所のちょっとしたことで直ったり再発したりするのも、やや懐かしいタッチのコミック風。主人公が成長すると、売春宿で料理作りながら、“女の味”を知るといった風に、くすぐりがだくさんある。ただ、最終的に主人公がどうして天文学者になったのか?モザイクのように多様な要素を盛りこみすぎたことが災いしてか、どうもよくわからない点もある。

僕はこの映画すでに1週間前の週末に見たんだけど、その後インフルエンザで体調を崩して、寝込んでいた。熱に苦しみながら、布団の中で思いうかべていたのは、なぜか子供の頃見た『世界の料理ショー』というアメリカのTV番組のこと。確かグラハム・カーという人がジョークを飛ばしながら、様々なスパイスを使って、料理を作っていた。けっこうあれって、勉強になることが多かったなぁ。グローブとかローズマリーとかいったスパイスの名前を覚えたのも、あの番組のおかげだ。本格的な洋風料理に対する憧れを子供の僕に抱かせてくれた。インターネットで調べたら、『新・世界の料理ショー』というのもあるらしい。まあ、あれは声優さんがよかったから、面白かった番組だったともいえるんだけど。
| 2005年2月の映画 | 22:29 | comments(0) | trackbacks(0) |
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