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映画「ドリーマーズ」
僕がつねづね考えるアメリカ映画とは、考える映画。いいかえれば頭で理解する映画だ。一方、ヨーロッパ映画は感じる映画。いいかれば感性で理解する映画。これは、あくまで一般的な意味での話だが。

映画好きアメリカ人留学生マシューと、同じく映画狂のパリ在住姉妹イザベルとテオとの交流、彼らの享楽的な日々を描くベルトリッチ監督の「ドリーマーズ」は、映画におけるアメリカ的なものとヨーロッパ的なものの違いを、改めて僕に認識させてくれる。具体的にいえば、次の二つの場面・・
1. 三人が一緒に入浴する場面
パリのシネマテックで知り合ったマシュー、イザベル、テオはやがて共に暮らすようになる。マシューとイザベルの間には肉体関係が生じ、イザベルとテオの姉弟には近親相姦に似た絆がある。同じバスタブに三人が浸かっている場面は、彼らの関係を象徴的に表している。
泡にまみれる三人の官能をカメラは平等に映し出しているようで、実は温度差がある。マシューは官能に溺れているわけではない。彼は「愛」にこだわって、“I love you 愛している"と言い、他の二人が同じ言葉を発しないことをなじる。姉弟はといえばLOVEなんでどうでもいいだろって態度で、目を閉じて肉体的官能に溺れている。「愛」にこだわるマシューと、官能に浸りながら生の充実感を味わっている姉弟の違いが浮き上がって見える。

2. 三人がデモ隊に加わる場面
赤い旗を掲げる五月革命のデモの渦に三人は加わることになる。立ちふさがる警察の機動隊に対して、テオは迷わず火炎瓶を手に取って、イザベルとともに権力に立ち向かう。
しかし、マシューは暴力に反対して、言論を使えと説得する。彼の出張は、権力への反抗心に燃えるテオとイザベルの心には届かない。テオとイザベルは催涙弾が飛び交うなか、手を取り合い火炎瓶を持って機動隊に突撃する。群集の中で呆然とするマシューは、姉弟にもベルトリッチのカメラにもに置き去りにされる。
インテリの父親を持ち裕福な家庭に育っている姉弟が、正義感に基づいているとはいえ、なぜあれほど突発的な暴力に突き進むか、アメリカ人マシューには理解不能だったに違いない。官能が姉弟を突き動かすのと同様に、暴力も理性を超えて姉弟を突き動かすのだった。ベルトリッチはその人々を飲み込む衝動をカメラで捉えようとする。

そもそも、マシューが最初に姉弟の自宅での食事に招かれたところで、ライターの四辺の大きさがなんだかんだ、それで世界全体が理解できるとかと言っていたところですでに、彼の理屈っぽさ、説明好きが表われていた。

前半、アンリ・ラングロワとシネマテック・フランセーズ、ヌーベルバーグ時代に活躍したジャン=ピエール・レオが登場したりして、思いっきり60年代のパリへのノスタルジーに浸る作品なのかと思った。でも、見ているうちに、この種の郷愁はどうでもよくなって、フランス人姉妹とアメリカ人留学生との間の距離が縮まったり離れてたりする、その成り行きばかりが気になるようになった。そして、時代の流れを空気のように感じているうちに、何時の間にか奔流に押し流される若者たち。性と政治の結びつきは、ベルトリッチの映画を際立たせる特徴だ。

「ドリーマーズ」は感じる映画だから、くどくど理屈を言うことはやめておこう。 『若者よ、すべからく官能に浸れ!』 そうベルトリッチは言っているように思う。残念なのは前半のラングロワ解雇の抗議デモのシーンにエキストラでもいいから、僕も加わりたかったこと。ベルトリッチはなんで僕に教えてくれなかったのかなぁ。自費で飛行機代払ってもいいから、あの場面に出たかったのだが・・・
作品HP
| 2004年8月の映画 | 23:59 | comments(0) | trackbacks(4) |
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