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映画「コーラス」
第2次世界大戦が終わって間もない頃、田舎の学校に赴任した音楽教師兼監視人クレマン・マチューが、はじめは心を閉ざしていた子供たちと、合唱(コーラス)を通じて、触れ合いを深めていくさまを描いた作品。
問題児を集めた学校が舞台になっていところが、教育現場が荒れているといわれる時代の観客を
ひきつける点になっているかもしれない。僕は昨年見たドキュメンタリー映画『ベルリンフィルと子供たち』のことを、この『コーラス』を見ながら思いうかべた。

才能に恵まれていた反抗児ピエールは、後に音楽学校に入学し、世界的な指揮者になる。冒頭でピエールがかつて同じ学校にいた幼なじみペピノの訪問を受け、マチュー先生の手記を渡される場面で映画は始まっている。全編、ノスタルジックな雰囲気が溢れているのは、マチュー先生の手記がピエールの回顧を誘い出し、その少年時代の思い出が映画の主要な内容になっているからだろう。最後に映画は、画面に出ないマチュー先生の後半生が、ペピノの記憶のなかで、生き続けていることを示唆している締めくくられる。

絵に描いたような美談が、とても詩的で、観客の心に強く訴えかけてくる力を持っていること。それは、この物語が、先生自身とふたりの教え子ピエール、ペピノ、彼ら3人の記憶の中で共有されていることと深く関係していると思う。このような回顧形式にしなかったら、現代の観客に、「なんだい、わざとらしい話だなぁ」という感想を持たれかねい、かなり危うい内容なのだけど、そこをうまく一編の映像作品に仕立てていると思う。

音楽が重要な働きをしている。少年の合唱隊の声がとても美しい。澄んだ歌声のハーモニーが貧相な学校の校舎に響き渡るところに、この映画の主眼があるのだから、急に子供たちが歌が上手くなっても驚くにはあたらないけど、やっぱり声変わり前の少年の声というのは美しいものだなぁ、と思う。西洋の宗教音楽にも、少年の合唱隊がよく使われるように、天使の響きとはまさにこのこと。この天使の響きを愛するあまり、あぶない方向に進んでしまったのが、『バッド・エデュケーション』に出てきた神父なんだけど・・・ああ、話が脱線した。
「バティニヨールおじさん」を監督・主演したジェラール・ジョニョが、真摯な人柄のマチュー先生の役を印象深く演じている。
| 2005年4月の映画 | 10:49 | comments(0) | trackbacks(0) |
映画「サマリア」についてのノート
題名「サマリア」(Samaritan Girl)の由来について、ヨハネ福音書4章の話(ある井戸の前でサマリアの女が会話を交わすイエス)をとりあげられている。サマリア人はユダヤ人から卑しい民と蔑まれていた。このサマリア人と売春する現代の少女たちを重ね合わせたということか。

キリスト教聖書について詳しくないけど、ルカ福音書の『善きサマリア人の譬え」に関連していると考える方が、この映画にぴったりくるようだ。それは、強盗に襲われた旅人にたまたま出会うサマリア人の話。サマリア人は、誰もが見て見ぬふりをする旅人の傷の手当てをし、宿屋につれていく。そして、主人に金まで渡して旅人の介抱を頼む。イエスが惜しみない“隣人愛”を他人に捧げるように教えさとす箇所ででてくる話だ。

キム・ギドク監督の作品をけなし続けてきたのに、この『サマリアを見てしまった。まあ、新作のたびに見たいと思わせるだけでも、大器の監督といえるのかも。実際、この作品は、意外とあっさりしていて、ほっとした。『バッドボーイ』でも「春夏秋冬、そして春」でも、毒々しさが目立って僕は好きでなかった。
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| 2005年4月の映画 | 00:46 | comments(0) | trackbacks(1) |
映画『真夜中の弥次さん喜多さん』
僕はこの映画、全然笑えなかった。近辺の先からは、クスクス笑いが聞こえたので、やっぱり笑わせる映画だったのかもしれない。最初は困ったなと思った。やがて、見ているうちに、そのテンポにそれほどの違和感を感じなくなったので、まあよかった。どこか、仲間内だけで通じる符号が散りばめられているのか?アングラ劇団とかの芝居でやってそうなギャグが頻出する。大阪ノリのギャグも、僕はちょっと苦手だ。原作のコミックを宮藤官九郎が味付けするとああなるのかな。

箱根の関所で長瀬智也と離ればなれになった中村七之助がふとテレビを見ると、『旅サラダ』のレポーターのように、長瀬が活きのいいサカナを抱きかかえて、『ええ、これで***円ですかぁ!』なんていってるのが画面に映る。これって観客を笑わせるつもり?と首を傾げてしまう。変な言い方だけど、別に笑わなくてもいいと思えば、この映画はけっこう楽しめる。論理を無視した展開、奇抜な画面構成とか。はちゃめちゃさな物語にポップな味付けをした映画は、ベテラン監督鈴木清順の映画でもお馴染みなの作風なので、特別に新奇とも思わない。この『真夜中の弥次さん喜多さん』のような映画はこれまでもあり、これからもどんどんつくられていくだろう。キッチュなところは寺山修司の映画なんかを連想しなくもなかった。

好きだったのは、浪速ホットという上方漫才師とか、金々とかいう町奉行とかいったキャラクター。笑えない。けど、笑えないだけに、なおさら不気味で怪奇で、とてつもないエネルギーが感じられる。女子高生の喜び組の登場が、唯一ちょっと笑えたところかなぁ。
| 2005年4月の映画 | 11:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
映画『アビエイター』
波乱に満ちた人生を送り、奇行を繰り返したことで知られる大富豪ハワード・ヒューズの生涯を描いた作品。ただ、アメリカでは伝説的な人物であっても、日本では知られていないので、この映画の世界に日本人が親しみが湧くかどうかは、やや疑問。

石油採掘で儲けた父親の大遺産を継いだハワード・ヒューズは、飛行機と映画にのめりこむ。一人の若者が膨大な財力と情熱とエネルギーを注ぎ込んで、ハリウッドでの話題を集め、航空業界を牛耳ろうとしるところが見どころ。マーティン・スコセッシ監督の演出は、彼の狂騒的な人生をうまく描いていると思う。ただし、あまりに支離滅裂なので、共感を誘うという次元を越えている。ちょっとだれてしまう映画の長さといい、予算がかかっているらしいがやや子供っぽいCG合成の映像といい、スコセッシにヒューズの狂気が乗り移って、とんでもな〜い映画をつくちゃったなぁ・・という印象だ。一見すると柔な作りで青い瞳のディカプリオには、常軌を逸した情熱が迸り、潔癖性に悩まされる男の雰囲気が漂っていたと思う。

僕はハワード・ヒューズが製作した映画を見たことがない。けど、名前を知っているのは、ジャン=リュック・ゴダールの映画でオマージュを捧げられていたから。たしか、ゴダールのリア王か、それとも、映画史か?で、彼の名がハリウッドの帝王、特異な映画プロデューサーとして、引き合いに出されていたと思う。髭だらけの猿か仙人のような格好で、密室に引きこもっているハワード・ヒューズの姿を描いたデッサンもみたことがあるような気がするのだが、あれもゴダールの映画の中だったのか?

ヒューズの生涯とは別に、アメリカの上流社会や経済と政治の結び付きについても、「アビエーター」はちょっと描いていて、それにも少し興味が引かれた。とはいえ、冗長すぎる作品だったことは否定しがたいなぁ。
| 2005年4月の映画 | 10:21 | comments(0) | trackbacks(0) |
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